情報更新日:2026年10月27日
iDeCo(個人型確定拠出年金)の掛金の上限が、2026年12月分の掛金(2027年1月引き落とし分)から引き上げられます。企業年金のない会社員は月23,000円から月62,000円へ、自営業者などは国民年金基金などと合わせて月68,000円から月75,000円へ上がります。加入できる年齢も、65歳未満から70歳未満に延びます。
この記事では、iDeCo公式サイト(国民年金基金連合会)、政府広報オンライン、厚生労働省、国税庁・財務省の資料(確認日:2026年10月27日)をもとに、働き方別の新しい上限と、掛金を増やすと所得税・住民税が年いくら減るかを年収別に計算しました。掛金を増やすための手続きの期限もまとめています。
結論:企業年金のない会社員は月6.2万円まで。増やすと税金は年7万〜14万円ほど減る
- 2026年12月分(2027年1月引き落とし)から、会社員・公務員は企業年金と合わせて月62,000円、自営業者などは国民年金基金などと合わせて月75,000円が上限になる。専業主婦(夫)などの第3号は月23,000円のまま
- 企業年金のない会社員が月23,000円から月62,000円に増やすと、2027年分の所得税と2028年度の住民税の合計は、年収400万円で70,700円、600万円で80,600円、800万円で142,400円、1,000万円で142,300円多く減る(筆者の試算)
- 掛金は自動では増えない。増やすには掛金額変更の届出が必要。書面の事前受付は2026年10月30日必着、e-iDeCoでの変更は12月1日から
- 2026年12月1日〜2027年11月30日に、改正前の上限を超える額へ初めて増やす変更は、「年1回まで」の制限の例外になる
- 増やした分も原則60歳まで引き出せない。課税所得のない人は掛金を増やしても税金は減らない
何が変わる?2026年12月のiDeCo改正
改正は2026年12月1日に施行されます。iDeCo公式サイトによると、2026年12月分の掛金(2027年1月引き落とし分)から新しい上限が適用されます。主な変更は「拠出限度額の引き上げ」と「加入できる年齢の引き上げ」の2つです。
| 加入区分 | 2026年11月分まで(月額) | 2026年12月分から(月額) |
|---|---|---|
| 第1号(自営業者・フリーランス・学生など) | 68,000円(国民年金基金・付加保険料と合算) | 75,000円(国民年金基金・付加保険料と合算) |
| 第2号:企業年金のない会社員 | 23,000円 | 62,000円 |
| 第2号:企業型DC・DBなどがある会社員 | 20,000円と「55,000円−企業年金の掛金」の小さい方 | 62,000円−(企業型DCの事業主掛金+DBなどの他制度掛金相当額)。上限20,000円はなくなる |
| 第2号:公務員 | 20,000円 | 54,000円(62,000円−共済組合の他制度掛金相当額8,000円) |
| 第3号(会社員・公務員に扶養される配偶者) | 23,000円 | 23,000円(変更なし) |
| 第4号(国民年金の任意加入者) | 68,000円(国民年金基金・付加保険料と合算) | 75,000円(国民年金基金・付加保険料と合算) |
| 第5号(新設:60歳以上70歳未満で一定の要件を満たす人) | ― | 第2号と同じ計算(企業年金がなければ62,000円) |
改正前は厚生労働省「iDeCoの概要」、改正後はiDeCo公式サイト「制度改正について」と、受付金融機関(りそな銀行・みずほ銀行)の案内によります。第3号が変わらないことは、政府広報オンラインの「年間27.6万〜90万円(令和8年12月からの額)」とも合います。
企業年金がある会社員・公務員の計算例
企業型DC(企業型確定拠出年金)やDB(確定給付企業年金)がある人は、62,000円から勤務先の掛金を引いた額がiDeCoの上限です。千円未満は切り捨てます。りそな銀行・みずほ銀行の案内に載っている例は次のとおりです。
| 勤務先の制度と掛金(月額) | iDeCoの上限(月額) |
|---|---|
| 企業型DCの事業主掛金10,820円だけ | 51,000円 |
| DBの他制度掛金相当額12,000円だけ | 50,000円 |
| 企業型DC 10,110円+DB 12,000円 | 39,000円 |
| 企業型DCの事業主掛金57,110円だけ | 拠出できない(差の4,890円がiDeCoの最低掛金5,000円に届かない) |
| 公務員(共済組合の他制度掛金相当額8,000円) | 54,000円 |
| 企業型DCでマッチング拠出をしている | iDeCoに拠出できない |
DBの他制度掛金相当額は勤務先の規約で決まります。自分の額は勤務先の担当部署か、企業年金の加入者向けサイトで確認します。
70歳未満まで加入できるようになる
加入できる年齢の上限も、65歳未満から70歳未満に引き上げられます。60歳以上70歳未満で国民年金の被保険者でない人は「第5号加入者」として加入できます。対象は次の①〜③のどれかに当てはまり、老齢基礎年金やiDeCoの老齢給付金を受け取っておらず、マッチング拠出をしていない人です。
- iDeCo加入者
- iDeCo運用指図者(掛金は出さずに、これまでの資産を運用している人)
- 企業年金からiDeCoに資産を移す人
経過措置として、2029年(令和11年)11月末までは、①〜③に当てはまらない60歳以上70歳未満の人も新しく加入できます。
年収別の節税額:月23,000円から月62,000円に増やすと
iDeCoの掛金は全額が「小規模企業共済等掛金控除」として所得から差し引かれ、所得税と住民税が減ります。企業年金のない会社員が、掛金を月23,000円(年276,000円)から月62,000円(年744,000円)に増やした場合を計算しました。
- 独身で、収入は給与だけ。社会保険料は年収の15%と仮定し、所得控除は社会保険料・基礎控除・iDeCoだけ
- 所得税は2027年分(令和9年分)で計算。基礎控除は合計所得489万円以下で104万円、489万円超655万円以下で67万円、655万円超で62万円(令和8年度税制改正)。復興特別所得税と防衛特別所得税(合わせて2.1%)を含む
- 住民税は所得割10%(基礎控除43万円)。調整控除と均等割は考慮しない
- 12月分から増やすと、2027年に引き落とされる掛金(2026年12月分〜2027年11月分)がすべて新しい額になるため、2027年分の所得税と2028年度の住民税から効果が出る
| 年収 | 課税所得 (所得税、iDeCoなし) | 月23,000円での 節税額(年) | 月62,000円での 節税額(年) | 増える 節税額(年) |
|---|---|---|---|---|
| 400万円 | 1,120,000円 | 41,700円 | 112,400円 | 70,700円 |
| 600万円 | 2,420,000円 | 55,800円 | 136,400円 | 80,600円 |
| 800万円 | 4,230,000円 | 83,900円 | 226,300円 | 142,400円 |
| 1,000万円 | 5,930,000円 | 84,000円 | 226,300円 | 142,300円 |
節税額=iDeCoなしの税額−iDeCoありの税額(所得税+住民税)。課税所得は千円未満、税額は百円未満を切り捨てて計算しました。数値をもとに筆者が計算しました。
所得税と住民税の内訳
| 年収 | 所得税の減少 | 住民税の減少 | 合計 | 増やした年468,000円の 実質の負担 |
|---|---|---|---|---|
| 400万円 | 23,900円 | 46,800円 | 70,700円 | 397,300円 |
| 600万円 | 33,800円 | 46,800円 | 80,600円 | 387,400円 |
| 800万円 | 95,600円 | 46,800円 | 142,400円 | 325,600円 |
| 1,000万円 | 95,500円 | 46,800円 | 142,300円 | 325,700円 |
住民税は課税所得にかかわらず一律10%なので、増やした468,000円に対して46,800円減ります。差が出るのは所得税で、税率が20%になる年収800万円・1,000万円では95,600円減ります。
年収600万円では、掛金を増やすと課税所得が2,144,000円から1,676,000円に下がり、一部が税率5%の範囲(195万円以下)に入ります。そのため増える節税額は80,600円と、税率10%で単純に掛けた額より小さくなります。
2028年分以後は、合計所得132万円超の基礎控除の上乗せ(特例)がなくなる予定です。同じ前提で計算すると、年収600万円の増える節税額は94,600円になり、ほかの年収は変わりません。基礎控除の額は物価に合わせて見直される仕組みもあるため、将来の額は変わる可能性があります。
掛金を増やす手続きと期限
上限が上がっても、今の掛金は自動では増えません。増やしたい人は「加入者掛金額変更届」を出します。受付金融機関(りそな銀行・みずほ銀行)の案内では、手続きは次のとおりです。
| 方法 | 受付期間 | ポイント |
|---|---|---|
| 書面の事前受付(専用様式「加入者掛金額変更届【事前受付専用】」) | 2026年9月1日〜10月30日(必着) | 改正前の上限を超える額へ増やす人向け。12月1日以降に国民年金基金連合会で順に処理される |
| e-iDeCo(オンライン) | 2026年12月1日から(みずほ銀行の案内では12月24日まで) | 一部の運営管理機関では使えない。利用申込(アカウント登録)は平日8時〜23時(共済組合員は21時まで)。12月上旬は混雑が見込まれる |
| 書面(通常の変更届) | 2026年12月1日から新しい書式で受付 | 提出先は加入している運営管理機関・受付金融機関で確認 |
「年1回まで」の制限の例外:iDeCoの掛金額は、ふだんは1年(12月分〜翌年11月分)に1回しか変えられません。今回は経過措置として、2026年12月1日〜2027年11月30日に、改正前の上限を超える額へ初めて増やす変更は、この制限の例外になります(書面の事前受付・通常の届・e-iDeCoのどれでも対象)。
- 例外になるのは1回だけです。改正前の上限以内での変更や、「月別指定(年単位)」から「毎月定額」への切り替えだけの場合は、通常の年1回の制限の対象です
- e-iDeCoと書面の事前受付で同じ変更を出すと、重複として返却されます
- 新しい額が何月分から反映されるかは、受付日と処理の進み方で変わります。加入している運営管理機関で確認してください
増やす前に確認したい注意点
- 原則60歳まで引き出せない:受け取りは原則60歳から75歳までの間です。60歳時点で通算の加入者等期間が10年未満だと、受け取れる年齢が後ろにずれます。増やした分も同じです
- 課税所得がないと税金は減らない:専業主婦(夫)など課税所得のない人は、掛金を出しても所得控除の効果はありません
- 住民税が減るのは翌年度:2027年に払った掛金の分は、2028年度(2028年6月〜)の住民税で減ります
- 控除には証明書が必要:会社員は年末調整で「小規模企業共済等掛金払込証明書」を出します。会社の給与から天引きでなく個人で払っている場合は、証明書の提出を忘れると控除されません
- 受け取るときは税金がかかる:一時金は退職所得控除、年金は公的年金等控除の対象ですが、控除を超えた分には税金がかかります。掛金を増やすほど受取額も増えます
- 企業年金の掛金は勤務先しだい:企業型DCやDBがある人は、勤務先の掛金でiDeCoの上限が変わります。勤務先の掛金が上がると、iDeCoに出せる額が減ることもあります
まとめ
- 2026年12月分(2027年1月引き落とし)から、会社員・公務員は企業年金と合わせて月62,000円、自営業者などは月75,000円が上限。第3号は月23,000円のまま
- 企業年金のない会社員が月62,000円に増やすと、税金は年収400万円で年112,400円、800万円で年226,300円減る(今の月23,000円より年70,700円〜142,400円多い)
- 掛金は自動では増えない。書面の事前受付は10月30日必着、e-iDeCoは12月1日から。2027年11月30日までの初回の増額は年1回の制限の例外
- 60歳まで引き出せないお金なので、生活費や近い将来の出費とのバランスを見て金額を決める。手続きの詳細は加入している運営管理機関で確認する
よくある質問(FAQ)
Q. iDeCoの掛金はいつから増やせますか?
A. 2026年12月分の掛金(2027年1月引き落とし分)から新しい上限が適用されます。増やすには掛金額変更の届出が必要で、受付金融機関の案内では、書面の事前受付が2026年10月30日必着、e-iDeCoでの変更が2026年12月1日からです。
Q. 何もしなくても上限まで増えますか?
A. 増えません。上限が上がっても今の掛金はそのままです。増やしたい人は「加入者掛金額変更届」を書面かe-iDeCoで出す必要があります。
Q. 掛金の変更は年1回までではありませんか?
A. 経過措置として、2026年12月1日〜2027年11月30日に、改正前の上限を超える額へ初めて増やす変更は、年1回の制限の例外になります。第1号・第2号・任意加入の人が対象で、例外は1回だけです。
Q. 企業型DCがある会社員はいくらまで出せますか?
A. 62,000円から、企業型DCの事業主掛金とDBなどの他制度掛金相当額を引いた額(千円未満切り捨て)です。例えば企業型DCの事業主掛金が10,820円だけなら51,000円です。マッチング拠出をしている場合はiDeCoに拠出できません。
Q. 専業主婦(夫)も上限は上がりますか?
A. 第3号被保険者の上限は月23,000円のままで変わりません。また、課税所得がない場合は、掛金を出しても所得税・住民税は減りません。
Q. 年収600万円の会社員だと、節税額はいくら増えますか?
A. 企業年金のない会社員が月23,000円から月62,000円に増やすと、2027年分の所得税と2028年度の住民税の合計で年80,600円多く減ります(独身、社会保険料は年収の15%と仮定した筆者の試算)。月62,000円での節税額は年136,400円です。
Q. 70歳まで加入できるのは誰ですか?
A. 60歳以上70歳未満で、iDeCo加入者・運用指図者・企業年金からiDeCoに資産を移す人のいずれかに当てはまり、老齢基礎年金やiDeCoの老齢給付金を受け取っておらず、マッチング拠出をしていない人です。2029年11月末までは、これに当てはまらない60歳以上70歳未満の人も新しく加入できます。
出典
- 制度改正について(iDeCo公式サイト、国民年金基金連合会)
- iDeCoの拠出限度額の見直しに伴うiDeCo掛金額変更について(iDeCo公式サイト、2026年8月17日)
- iDeCoの加入資格・掛金・受取方法等(iDeCo公式サイト)
- iDeCoが大きく変わる!2026年12月制度改正のポイント(政府広報オンライン、2026年9月8日)
- 2026年12月からiDeCoがパワーアップ!制度改正の3つのポイント(厚生労働省Webマガジン、2026年10月20日)
- iDeCoの概要(厚生労働省)
- iDeCoの2026年12月法改正(りそな銀行)
- 法改正(2026年12月施行)に伴うiDeCo制度変更のご案内(みずほ銀行)
- No.1135 小規模企業共済等掛金控除(国税庁)
- 令和8年度税制改正の大綱(財務省)
- 令和8年4月 源泉所得税の改正のあらまし(国税庁、PDF)
確認日:2026年10月27日。年収別の節税額は、上記の税制をもとに筆者が計算しました。実際の税額は、扶養や他の所得控除、社会保険料の額などで変わります。手続きの詳細は、加入している運営管理機関の案内を確認してください。



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